ある日の事、アタシはある部屋にいた。

そこの住人は、アタシの目の前で、2つに折った座布団を枕代わりにして寝ている。

今日は買い物に付き合ってくれる約束なのに、すっかり忘れて寝ているらしい。

だいいちアタシが勝手に入ってきているというのが異常。

ドアに鍵はかかってなかったし、アタシが傍にいるのも気付きもしない。

これだから日本人ってのは………危機感が足りないのよ、アンタは!

この元同居人のバカシンジこと碇シンジ君は。

 


GUILTY

Written by HTIK


「人の気も知らないで、気持ち良さそうに寝ちゃってさ………」

アタシはずっとテーブルに肘をついてシンジの寝顔を見ていた。

シンジの寝顔は心なしか笑っているようにも見える。

どうせ、ファーストの夢でも見てるに決まってる。

アタシがシンジのことをどう思っているかなんて、コイツは全然判ってない。

アタシはシンジが好き。

シンジを手に入れる為なら、なんでもする。逆に、こいつさえ手に入れば、後は何もいらない。

でも、シンジがアタシの事を好きじゃなかったら?………好きにさせてやる。どんな事をしても。

四六時中くっついて……………いっそのこと、何処かに監禁でもしようかしら?

……………………………ダメね。監禁する場所が無いわ。

この家なんて論外だし、部屋を借りるにしても、アタシのお金はミサトが管理してるからミサトに言わないと使えないし………アイツ使い込んでないでしょうね?今度問い詰めなきゃ。

………………………………

………………………

………………

………

それなら、いっその事………………………殺しちゃうか?

アタシはシンジが欲しい。シンジさえいれば他に何もいらない。

もしアタシのモノにならなくて、誰かのモノになる位なら殺そう。そしてアタシの記憶の中で生き続けるの。

 

 

 

殺すとして…………どうやって?

手っ取り早いのは刃物でグサッってヤツか………

血が一杯出るだろうな………刺すのは止めよう。

後は………睡眠薬とか?

でも、どうやって飲ませようかしら?

病気でもないのに、薬なんか飲むはず無いし………第一、何錠くらい呑めば死ぬのかな?20錠くらい?

病気でもそんなに飲ませようとすると、疑われるわね。

う〜ん、細かく砕いてジュースに混ぜるとか………味が変わりそうでダメね。

そうだ!料理に混ぜて…………って、アタシ料理出来ないじゃん。却下。

やっぱり、刃物で刺すしかないのかな…………。

刃物って言っても色々あるわよね。

リツコに頼んで、プログナイフを人が持てるように小型化してもらおうかしら?…………ダメね、アタシの手が壊れるわ。

じゃあ……………包丁とか?

丁度シンジが色んな種類の包丁持ってるから、(証拠隠滅の為に)1本位無くなってもわからないわよね?

うん、これにしよう。

 

 

 

それで、何処を刺せば死ぬのかな?

刺すなんて1回で済ませたいし………

確実なのは、首か……………でも血が一杯出そうだな…………

心臓を一突き………って、肋骨に当たって上手く刺さんないかも。

………………じゃあ、肝臓辺りなんてどうかしら?

どっちにしろ、血が出るのは避けられないのよね……………当たり前だけど。

カーペットに染み込んじゃうかしら?

もしかしたら、下の部屋まで染みちゃうかも。

そうしたら、警察に通報されちゃうわ。これは不味いわね。

………………………そうだ、お風呂場なんか良いかも?シャワーでそのまま血を洗い流せるし。うん、お風呂場にしよう。

 

 

 

それで殺した後……………………死体の後始末を考えなきゃ。

まさか、粗大ゴミに出すわけにはいかないし、何処かに捨てるにも車運転出来ないし………

バラバラに切り刻んで、生ゴミに混ぜて捨てるか…………

でも、どうやって?………………糸ノコでも買ってこようかしら。

それでバラバラにして…………気付かれないように何回かに分けて……………腐りそうだから、ビニール袋に入れて冷蔵庫に保管しておかなくちゃ。

 

 

 

後は、シンジが行方不明になれば良いのよね。

丁度夏休みだから、学校行かなくても良いし………シンジの携帯電話を壊して捨ててしまえば、誰も連絡できなくなるわね。

後は、ヒカリやあのニバカ達と偶然を装って街で合って、シンジが旅行に行く(行った)とでも言いふらしておけば良いか。

後は此処の住人にアタシが此処に来ている事を知られないようにしなきゃね。

 

 

 

……………………大体こんなもんかな?じゃあ、糸ノコ買ってこなくちゃ。

「…………………う、う〜ん。」

………………び、びっくりした〜。起きるかと思ったじゃない!

「…………アスカ…………」

え?アタシ?アタシの夢見てんの?

「………………す……だよ」

す?だよ?

「……………………」

「す」って何よ!「す」って!寝言ならもっとハッキリ言いなさいよ!

も、もしかして…………「好きだよ」?

「……………………」

………………………もう一回言いなさいよ!

「……………………アスカ……………」

そう!次!

「……………………」

………………………………

………………………………

………………………………

………………………………

ダメだわ。

あれから10分待ったけど、シンジは何も言わない。

………………でもアタシの夢を見ているみたいだから、良しとしておこう。

「バカシンジ!起っきろ〜!」

「うわっ」

シンジは驚いて飛び起きたわ。

そりゃそうよね、いきなり耳元で大声出されたんじゃね。

「なんだ、アスカか…………」

「アスカかじゃないでしょ!今日は買い物に付き合ってくれる約束でしょ!?」

「あ、そうだっけ?」

「また、忘れてたわね…………罰として夕飯はシンジのオゴリね!」

「え〜」

「何よ!文句でもあんの!?」

「………ありません。」

「宜しい。ほら、早く支度しなさいよ。」

「わかったよ…………それで今日は何を買うの?」

そうだ。買うものなんか決めてなかった。シンジって、買い物という名のデートだと思ってないのかしら?

ま、にぶちんシンジだしね。

何買おうか?……………少なくとも糸ノコ買うのは中止ね。

 

<おしまい>


後書き

某漫画の影響をモロに受けてしまいまして、こんなものを。こういう狂気なお話って大好きなもんで。

このお話の元ネタがわかる人っているかな?

もし、いたらマニアックですね(笑)。

2002/04/16 HTIK


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